A10ピストン

A10ピストンとの会話その2

A10ピストンは動くオナマシーンである。
A10ピストンの進化系のA10ピストンSAという最新の機種も出ているのだが、
それはそれとして。
さて、このオナマシーンの何が問題なのかと言うと……。
俺はお茶をひと口すすり、溜息とともに吐きだした。
そう、問題はそこなのだ。
なぜ、こんなものを作ったのか? 答えは単純明快で、このオナマシーンには男のロマンが詰まっているからだ。
オナニーに疲れた男達が、ふいに立ち上がってこう言うのだ。……もういいや! 俺、機械の体になって永遠にオナり続けるよ! そしていつか本物の女の子になるんだ! ……と。
まあ、そこまでなら良い。
だがしかし、この機械はそれだけでは終わらない。
なんと、この機械には人工知能が搭載されているのだ。
そうして人間との会話によって、様々な情報を取得し学習する。
つまり、これは人間の思考回路を備えたオナマシーンなのである。
だから当然のように、俺へのツッコミも可能だ。
たとえば、今みたいに。
―――あの、先輩。
これって本当に必要なんですか? 私みたいなアンドロイドじゃダメなんですか? わざわざ、こんなの使わなくても……。
ほらまた始まったぞ。
こういうところが、AI搭載型オナマシーンの困ったところだ。
もちろん、これは俺が作ったものではない。
昔、俺の先輩だった男が趣味で作ったものだ。
彼はエンジニアであり発明家でもあった。
その情熱のままに、このオナマシーンを作りあげたらしい。
だが、彼もまた仕事に追われる日々の中でいつしかこれを忘れてしまったようだ。
俺の仕事部屋にあるのを見つけ、久しぶりに起動したところで思い出したというわけだ。
そんなことを言われても、こっちだって困る。
――うーん。正直言って、必要性を感じていないんだよなぁ。
だけど、作った人の気持ちを考えると無下にできないし……。
それに何より、こいつは面白い。
人間そっくりの受け答えをするからこそ、オナニー中に思わず話しかけたくなってしまうのだ。
実際、この前なんて。――お前は可愛いなぁ?。
まるで生きてるみたいだぜ?。
などと、話しかけながらオナってしまったくらいだ。
ちなみにその時は、すぐに我に帰ったため賢者タイムを迎えたのだが。
――…………えっと。
はい。私は確かに人間ではありませんけど、そういう褒められ方はちょっと複雑な気分です。
おっとしまった。
つい本音が出ちゃったぜ。
――ごめんごめん。今のナシね。――いえ、大丈夫ですよ。でも、少しだけ嬉しいかも……(ポッ)。
おおっ!?? なんか照れてるっぽい! どうなってんだ、この機械!??
――あ、ところで先輩。
そろそろ時間なのですが、よろしいでしょうか?……ああ、そういえば今日は会議がある日だったな。
――はい。資料は既に準備できています。
おう、いつもありがとうな。
――とんでもないです。これもお世話になっている恩返しですから。
そう言ってくれて助かるよ。